
SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを同時に阻害することで、うつ病で低下しているモノアミン濃度を改善し、抗うつ作用と抗不安作用を示すとされます。
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SSRIが主にセロトニンのみを増強するのに対し、SNRIはノルアドレナリンにも作用するため、意欲低下や活動性低下に対してより強い改善効果が期待される点が使い分けの重要な前提になります。
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日本で承認されているSNRIはミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン(徐放製剤)が代表であり、それぞれセロトニンとノルアドレナリンへの作用バランスや用量反応が異なります。
参考)SNRI一覧と各薬剤の特徴・効果・副作用の詳細解説
ミルナシプランはノルアドレナリン再取り込み阻害作用が相対的に強く、比較的穏やかな抗うつ効果と副作用プロファイルから、高齢者など副作用リスクが高い症例で選択されることが多いと報告されています。
参考)https://gifu-min.jp/midori/document/576/kouutujissenn.pdf
臨床では、不安優位のうつ病や不安障害にはまずSSRIを、意欲低下や無気力、倦怠感が前景に立つ症例にはSNRIを第一選択とする実用的なアルゴリズムがしばしば紹介されています。
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慢性疼痛や線維筋痛症、糖尿病性神経障害性疼痛など痛みが前景にある症例では、下行性疼痛抑制系を賦活するSNRI(特にデュロキセチン)を選択することで、抑うつと疼痛の双方をターゲットとした治療が期待できます。
一方で、高齢者や多剤併用例では、血圧上昇・頻脈・尿閉などノルアドレナリン由来の副作用に留意しつつ、作用の穏やかなミルナシプランや、場合によってはSSRIへの切り替えを検討するなど、患者背景に応じた細やかな使い分けが求められます。
また、SNRIと近縁のNRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)がADHD治療薬として用いられていることから、実臨床でも「意欲低下・注意集中困難・抑うつ・疼痛」が混在する症例に対し、SNRIを選択することで複数の症状ドメインを一剤でカバーする戦略が検討されることがあります。
その一方で、SNRIはSSRIに比べ躁転リスクがやや高い可能性が指摘されており、特にトラマドールなどセロトニン・ノルアドレナリン系に作用する鎮痛薬との併用では躁転やセロトニン症候群のリスクが増すとの報告もあるため、双極性障害が疑われる症例や多剤併用例では慎重な用量調整とモニタリングが重要です。
SSRIからSNRIへの切り替えでは、一剤を一気に中止して別の一剤を開始するのではなく、SSRIを減量しながらSNRIを少量導入し、一定期間の併用を経てSNRI単剤へ移行する段階的スイッチングが推奨されます。
ベンラファキシンは用量依存的に作用が変化し、低用量ではセロトニン主体、中等量以上でノルアドレナリン作用が強まるとされるため、不安症状が強い場合は低用量から開始し、意欲低下が残存する場合に段階的に増量していくことで、副作用と効果のバランスを調整しやすくなります。
日本の実臨床向け資料では、65歳以下で併用薬が少ない症例にはSNRIを含むやや強めの抗うつ薬、75歳以上や多剤併用例では安全性重視でSSRIや作用の穏やかなSNRIを選択する「年齢別のざっくりとした使い分け」が紹介されており、現場での迅速な初期選択の目安として利用されています。
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