
向精神薬は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)に基づき、中毒性や依存性、乱用のおそれの程度に応じて第1種、第2種、第3種の3段階に分類されています。この分類は1971年の「向精神薬に関する条約」の批准を受けて整備され、国内外で一貫した規制枠組みを形成しています。
参考)向精神薬
第1種向精神薬は最も危険性が高く、医療用としての使用が原則禁止されている物質です。セコバルビタール、フェネチリン、メチルフェニデート、モダフィニルなどが該当し、研究目的での使用を除き一般の医療現場ではほぼ取り扱われません。
参考)https://www.asahikawa-med.ac.jp/bureau/shomu/kenkyus/temp/others/161205_koseishin_list.pdf
第2種向精神薬は医療用として使用されますが、特に厳格な管理が求められる薬物です。アモバルビタール、カチン、グルテチミド、ブプレノルフィン、フルニトラゼパム、ペンタゾシン、ペントバルビタールなどが含まれます。
第3種向精神薬は臨床現場で最も頻繁に使用されるグループで、アルプラゾラム、オキサゾラム、エスタゾラム、クアゼパム、クロチアゼパム、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、フルラゼパム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ニメタゼパム、ノルダゼパム、ブロチゾラム、プラゼパム、メダゼパム、ミダゾラム、ゾルピデム、ゾピクロンなどが含まれます。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000277965.pdf
向精神薬の薬理作用は大きく4つに分類されます。中枢抑制薬はGABA受容体作動薬やバルビツール酸誘導体など、脳の興奮を鎮静させる作用を持ちます。向精神薬の約70%がこの分類に該当し、抗不安作用、睡眠導入作用、鎮静作用などが臨床的に重要な効果です。
参考)◆向精神薬とは?主な分類と効果、特徴と注意点、副作用やリスク…
中枢興奮薬は脳内のドーパミンやノルアドレナリン系を刺激し、覚醒や注意力向上を促す作用を示します。メチルフェニデート、モダフィニル、アンフェタミン誘導体などが代表例で、注意欠陥・多動性障害(ADHD)やナルコレプシーの治療に用いられます。
鎮痛薬は中枢神経系に作用して痛みの伝達を抑制します。ブプレノルフィン、ペンタゾシン、アンフェプラモンなどが該当し、手術後や癌性疼痛管理に使用されますが、同時に依存性リスクも高く、適正使用が求められます。
食欲抑制薬は視床下部の摂食中枢に作用し、食欲を抑制します。マジンドール、フェンテルミン、メフェノレクスなどが該当しますが、心血管系への副作用や依存性が懸念され、日本では使用が制限される傾向にあります。
2025年12月に日本うつ病学会から「うつ病診療ガイドライン2025」が発表され、2016年版以来、9年ぶりの全面改訂が行われました。このガイドラインは従来の修正加筆方式を脱却し、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020に則ったシステマティックレビューに基づくエビデンスレベルの明確化が特徴です。
参考)https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/toppdf/20251225.pdf
重要な転換点として、患者と医療者間での相互理解のうえで治療方針を考える、共同意思決定(Shared Decision Making; SDM)の推進が明記されました。また、Measurement-Based Care(測定に基づく診療)の概念が導入され、PHQ-9などの評価尺度を用いて治療効果を客観的に見える化することが推奨されています。
参考)うつ病診療ガイドライン2025|9年ぶり大改訂をわかりやすく…
軽度うつ病に対しては、新規抗うつ薬は選択肢の一つになり得るが、開始するか否かは患者の希望や症状によって生じている影響、過去の治療に対する反応性や副作用などを考慮することとされています。中等度・重症うつ病に対しては、新規抗うつ薬による単剤治療が強く推奨され、初期からの併用療法は提案しないとされています。
参考)米国で数十年ぶり新クラスの抗精神病薬承認…ブリストルの「Co…
抗うつ薬による初期治療で十分な効果が得られなかった場合には、抗うつ薬の増量、別の抗うつ薬へ切り替え、他の抗うつ薬の追加、抗精神病薬の追加などが挙げられています。難治性(2剤以上の抗うつ薬治療に効果が不十分)に対しては、第2世代抗精神病薬による補助療法が弱く推奨されています。
2025年12月22日、塩野義製薬のうつ病治療薬「ザズベイカプセル30mg」(一般名:ズラノロン)が、日本でうつ病・うつ状態を適応として承認され、2026年3月19日から販売が開始されました。
参考)https://www.yakuji.co.jp/entry131783.html
この薬は、GABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターとして作用し、投与開始後早期から効果発現が確認されています。用法は成人に1日1回30mgを14日間、夕食後に経口投与するもので、従来の抗うつ薬とは異なる即効性が期待される新クラスの治療薬です。
参考)ザズベイ®(ズラノロン)とは|14日間で完結する新世代抗うつ…
国際的には、2024年に米国で数十年ぶりとなる新クラスの抗精神病薬「Cobenfy」(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)が承認されました。この薬はコリン作動性受容体を標的とし、従来薬より副作用が少ないとされ、ドパミンD2受容体を標的としないため、体重増加や代謝異常、遅発性ジスキネジアなどのリスクが低いと期待されています。
向精神薬の処方管理は、医薬品の適正な使用を確保し、依存症や薬物乱用を防止するために厳格なルールが定められています。厚生労働省の「薬局における向精神薬取扱いの手引」や各都道府県の「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引き」に基づき、医療機関は適切な管理体制を確立する必要があります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/kouseishinyaku_02.pdf
第2種向精神薬は、処方箋の交付日から14日以内に調剤することが義務付けられており、処方期間の制限があります。また、第3種向精神薬でも、一部の薬物については30日分までの投薬日数制限が設けられています。
参考)https://www.gifu-upharm.jp/di/regulate/psychotropic.pdf
2026年2月に承認された新薬情報では、ナルティークOD錠75mgやティブソボ錠250mgなど、新医薬品として14日分を超える長期投与が不可の薬物があり、2026年6月以降や12月以降に投与日数制限解除の予定が記載されています。
参考)https://www.hospital.kisarazu.chiba.jp/images/stories/contents/yaku/yakuzai-NO256.pdf
院内院外での取扱いにおいても、第3種向精神薬のスピジア点鼻液やクロチアゼパム錠など、14日分や30日分までの投薬日数制限が適用される薬物があり、処方時に注意が必要です。
厚生労働省「薬局における向精神薬取扱いの手引」
日本うつ病学会「うつ病診療ガイドライン2025」
PMDA「2026年度承認品目一覧(新医薬品)」
エビオス錠 300錠 【指定医薬部外品】 胃腸・栄養補給薬