
医療現場のインシデント報告では「情報の伝達ミス」が毎年上位の原因として挙がっており、申し送りの質は医療安全と直結しています。
参考)https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/document/report/pdf/torikumi.pdf
特に夜勤帯など人員が限られる時間帯では、「ざっくりした共有」がそのままエラーにつながるため、誰が聞いても同じ理解になる具体策と例文をチームで共有しておくことが有効です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001128611.pdf
具体策としてよく推奨されるのが、SBAR(Situation, Background, Assessment, Recommendation)に沿って情報を整理して話す方法です。
参考)医師・看護師等の「新しい働き方」を提言
例えば「熱が出ています」ではなく、「状況:本日14時から38.2℃の発熱。背景:昨日から咳と痰が増加。評価:呼吸数24回/分、SpO2 94%(room)。提案:胸部レントゲンとCRP採血の要否をご相談したいです」というように、判断に必要な情報を1つのパッケージとして伝えることができます。
現場で使いやすいように、申し送りメモにあらかじめ「S」「B」「A」「R」の欄を印刷しておき、そこに箇条書きで記入してから口頭で伝える運用をしている病棟もあります。
参考)https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/files/Attachment/424/%E5%8B%A4%E5%8B%99%E7%92%B0%E5%A2%83%E6%94%B9%E5%96%84%E3%81%AB%E4%BF%82%E3%82%8B%E5%8F%96%E7%B5%84%E5%A5%BD%E4%BA%8B%E4%BE%8B.pdf
この方法を導入した病棟では「説明が端的でわかりやすくなった」「確認質問が減った」という主観的評価に加え、夜間の不要な呼び出しが減ったという報告もあります。
実際の例文として、夜勤から日勤への申し送りを考えてみます。
NG例:「○○さん、夜間ちょっとしんどそうでした。」
改善例:「○○さん、夜間2時ごろから呼吸苦を訴え、SpO2が92%まで低下しました。酸素1Lで94%まで改善し、その後は訴えなく、現在は安静時98%を維持しています。本日の日勤帯で医師に酸素継続の要否と、日中の運動時SpO2の評価を相談していただきたいです。」のように、経過と具体的な依頼内容をセットにして伝えると安全性が高まります。
患者・家族への説明は、医師だけでなく看護師やコメディカルも日常的に担いますが、「伝えたつもり」と「患者が理解した内容」にギャップが生じやすい場面です。
参考)治療院ブログ3ヶ月で10名集客!初心者でも書ける記事ネタ18…
インフォームドコンセントに関する調査では、「説明時間の長さ」よりも「専門用語をかみ砕いた説明」と「質問を促す雰囲気」が患者の満足度と相関することが報告されています。
具体策として有効なのが、3ステップで説明する方法です。
1つ目は「今日伝えたいことは何か」を最初に端的に述べること、2つ目は「理由・根拠を日常生活の例に置き換えて話すこと」、3つ目は「患者自身の言葉で復唱してもらうこと」です。
参考)https://www.cna.or.jp/uploads/media/2020/09/20200928092720.pdf
例えば抗菌薬の点滴を継続する必要性を説明する際に、「点滴はまだ続きます」だけで済ませるのではなく、「今使っている点滴は、体の中でまだ残っているばい菌を確実に減らすためのお薬です。熱が下がっても中途半端にやめると、ばい菌が生き残って再び増えることがあります。ですので、あと3日ほどきちんと続ける必要があります。ここまでの話で、気になる点や不安なことはありますか?」といった形で、理由と質問の機会をセットで提示することが推奨されています。
また、高齢患者では聴力や認知機能の低下も考慮し、1文を短く区切る、メモや図を併用するなどの具体策を講じると理解が向上するとされています。
参考)いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)
「○○なので△△しましょう」と一方的に決めるのではなく、「○○という理由で、この2つの選択肢があります。それぞれの良い点と大変な点をお話ししますので、一緒に考えていきましょう」という例文のように、意思決定への参加を促す表現を意識すると、患者の納得感とアドヒアランスが高まりやすくなります。
意外なポイントとして、日本語特有の「あいまい表現」が患者の不安を強める場合があります。
例えば「ちょっと様子を見ましょう」は、医療者にとっては「危険な兆候はなく、急を要さないが、状態変化に注意する」という意味でも、患者にとっては「何か悪いことが起きているのに放置されているのでは」という印象になり得ます。
この場合、「今のところ危険な状態ではありませんが、夜に熱が上がる可能性があります。今から3時間ごとに体温を測定し、38度を超えたら再度診察させてください」というように、具体的な観察ポイントと行動プランを添えた例文に置き換えると安心感が高まります。
医療従事者の教育現場では、「指導の言い方がきつく感じられた」「萎縮して質問できない」といった声が、離職理由の一因として挙がることがあります。
参考)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/goudou/dai3/siryou08.pdf
一方で、指導する側からは「安全のためには厳しく言わざるを得ない」「忙しくて丁寧に説明する余裕がない」という本音も聞かれ、両者のギャップを埋める具体策が求められています。
フィードバックの技法として知られるのが、「行動に焦点を当て、事実→影響→期待の順に伝える」という枠組みです。
参考)https://tetsucreate.com/wp-content/uploads/2025/12/kijiseisaku_checklist.pdf
例えば採血時に手順を省略してしまった後輩への指導では、「さっきの採血のとき、手袋を装着する前に患者さんの皮膚を触れていました(事実)。そのままだと、患者さんへの感染リスクが高くなってしまいます(影響)。次からは、手袋をしてから患者さんの腕に触れるように気をつけてみましょう(期待)。何かやりづらさはありましたか?」という例文のように、人格ではなく行動にフォーカスした表現が有効です。
さらに、ポジティブ・フィードバックとセットにする具体策も推奨されています。
同じ場面で、「採血の部位選びはとても丁寧で、患者さんへの声かけも安心感がありました」と良かった点を具体的に伝えたうえで、「そのうえで、感染対策の手順だけもう一歩レベルアップさせましょう」と続ける構成にすると、受け手の防衛感情が和らぎ、学習意欲が高まりやすいことが示されています。
独自の視点として、指導する側が「自分の失敗談を例文として共有する」という方法があります。
例えば、「私も新人のころ、採血に集中しすぎて消毒が不十分になり、先輩に注意されたことがあります。そのとき『手順書を声に出しながらやってみたら?』とアドバイスをもらって、とてもやりやすくなりました。よければ一緒にやってみませんか?」という例文を添えると、上下関係が強い職場でも心理的安全性が高まり、質問や相談がしやすくなると報告する現場もあります。
診療録や看護記録、インシデント報告書は、医療安全と訴訟リスク管理の両面で非常に重要な役割を担っています。
しかし、「何を書けばよいかわからず、毎回同じようなテンプレートになってしまう」「後から読んだときに状況が思い出せない」という悩みも多く、具体策や例文をチームで共有している医療機関はまだ多くありません。
厚生労働省の好事例集では、「できごとを時間軸で整理し、主観と客観を分けて記載する」ことが推奨されています。
例えばインシデント報告であれば、「19:00 薬剤セット時:薬剤A 10mgを準備」「19:15 投与直前:ダブルチェックで薬剤B 5mgとの取り違えに気づく」「患者への影響:投与前に気づいたため、臨床的影響なし」といったように、事実を時系列で追える形に整える具体策が挙げられています。
実務で使える例文として、看護記録の一部を考えてみます。
NG例:「今日はよく眠れた様子。」
改善例:「0:00〜6:00まで中途覚醒なく睡眠。6:30に自然覚醒し、『よく眠れました』と発言。朝食摂取量8割、表情穏やか。」のように、具体的な時間・量・患者の発言を盛り込むと、後から状態変化を追いやすくなります。
さらに意外な例として、「デジタルデータの記録」を意識した表現の工夫があります。
近年は電子カルテのテキストを自然言語処理で解析し、転倒リスクや急変リスクの予測に用いる研究が増えていますが、あいまいな表現が多いとアルゴリズム側で有効な特徴量として活用しづらくなります。
「なんとなくしんどそう」ではなく、「歩行時に『ふらつく』と発言し、距離10mで立ち止まる回数2回」など、数値と行動で表現された例文は、人間だけでなく機械にとっても解析しやすいデータになります。
多職種カンファレンスは患者アウトカム改善に有効とされていますが、「一部の職種だけが発言し、他は聞いているだけになっている」という課題も報告されています。
ここでは、あまり検索上位に出てこない視点として、「各職種の“ひと言テンプレート”を事前に用意しておく」という具体策と例文を紹介します。
例えば、看護師向けには「看護の視点から見ると、○○が課題と考えています。その理由は□□で、ご自宅に戻られた後△△が懸念されます。」、リハビリスタッフ向けには「リハビリの立場からは、○○メートルの歩行は可能ですが、段差昇降でバランスが不安定です。退院後は□□の環境調整が必要と考えます。」といった“型”を共有しておきます。
これにより、発言が苦手なスタッフでも、「ひと言テンプレート」に沿って要点を整理しやすくなり、結果として多職種からの情報がバランスよく集まりやすくなります。
さらに、医療者だけでなく患者・家族にもカンファレンスで発言してもらうための例文を準備しておくと、意思決定への参加が進みます。
「今日の話を聞いて、ご自宅での生活で一番心配なことを1つ教えていただけますか」「治療について、まだ迷っていることや、もう一度聞きたいことはありますか」のような質問を、司会者の“定型フレーズ”として毎回使うことで、患者側も意見を述べやすくなるという報告があります。
独自の工夫として、カンファレンス終了時に「今日の具体策を一文でまとめる」ルールを決め、ホワイトボードや電子カルテに残しておく方法もあります。
例えば、「今日の具体策:退院後1週間は訪問看護を週2回導入し、歩行状態と服薬状況を確認する」といった“締めの一文”を毎回書き出すことで、チーム全員の認識を揃えると同時に、後から振り返りやすくなります。
このように、「具体策 例文」を意識的にストックし、チームで共有・更新していくことで、医療現場のコミュニケーションは着実に質を高めていくことができます。
インシデント報告と好事例の具体的な記載例について詳しく知りたい場合は、以下の厚生労働省資料が参考になります。
医療機関における勤務環境改善取組好事例集(厚生労働省)
患者・家族への説明や多職種連携のポイントについては、以下の実践事例集も有用です。
医療機関の取り組み事例の紹介(いきサポ)
キューピーコーワヒーリング錠 120錠 疲労回復・予防 目覚めの悪さの改善 カフェインゼロ【指定医薬部外品】