エンパグリフロジン 先発 ジャディアンス 薬価 適応 副作用

エンパグリフロジンの先発薬「ジャディアンス」について、薬価改定や適応拡大、副作用管理など医療従事者が知りたい情報を網羅。2026年最新の薬価やCKD適応追加の背景、臨床現場での注意点まで詳しく解説します。

エンパグリフロジン 先発 ジャディアンス 薬価 適応 副作用

エンパグリフロジン 先発 ジャディアンス 薬価 適応 副作用
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薬価改定と市場拡大再算定

2025年8月1日適用で10mg錠166円、25mg錠283.4円に

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適応症の拡大とエビデンス

2型糖尿病に加え慢性心不全・CKDにも承認

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副作用管理と臨床注意

尿路感染やケトアシドーシスなど重大な副作用への対応


エンパグリフロジン 先発 薬価 改定 2025 市場拡大再算定



エンパグリフロジン先発医薬品「ジャディアンス」(日本ベーリンガーインゲルハイム)は、2025年8月1日適用の薬価改定において市場拡大再算定の要件に該当し、薬価が引き下げられました。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001487123.pdf


改定後の薬価は以下の通りです。

  • ジャディアンス錠10mg:188.90円 → 166.00円(1錠あたり)
  • ジャディアンス錠25mg:322.60円 → 283.40円(1錠あたり)


この改定の背景には、ジャディアンスが2024年2月に慢性腎臓病(CKD)の効能・効果が追加承認されたことが大きく関係しています。 NDB(ナショナルデータベース)データに基づく検討で、年間販売額が350億円超かつ基準年間販売額の2倍以上という要件に該当したため、市場拡大再算定の特例が適用されました。



医療機関にとっては、この薬価改定により処方コストが約12%削減されることになります。特にCKD患者への長期投与を想定すると、医療経済的なインパクトは小さくありません。ただし、注意点として、今回の再算定薬価は令和7年度薬価改定後の薬価より高い場合は適用されないという特例措置も付帯しています。



先発品であるジャディアンスは、後発品(ジェネリック)との薬価差が依然として存在しますが、心不全やCKDといった追加適応を有するのは先発品のみであるため、臨床現場での使い分けが重要になります。


参考)https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/7481


エンパグリフロジン 先発 適応 2型糖尿病 慢性心不全 慢性腎臓病

エンパグリフロジン(ジャディアンス)の適応症は、発売当初の2型糖尿病から段階的に拡大し、現在では以下の3つの疾患領域で使用可能です。


参考)https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000002582/


  • 2型糖尿病:2015年2月の保険収載時からの適応
  • 慢性心不全:HFrEF(心拍出量が低下した心不全)およびHFpEF(心拍出量が保たれた心不全)の両方に対応
  • 慢性腎臓病(CKD):2024年2月9日承認、ただし末期腎不全または透析施行中の患者を除く


2026年4月2日時点でのSGLT2阻害薬の適応症を比較すると、エンパグリフロジンの先発品は「2型糖尿病」「慢性心不全」「慢性腎臓病」の3領域すべてに対応している唯一の薬剤です。 一方、後発品(ジェネリック)は2型糖尿病のみに適応が限定されており、心不全やCKDへの使用は認められていません。



この適応拡大の背景には、大規模臨床試験のエビデンス蓄積があります。特にCKD領域では、eGFRが20mL/min/1.73m²以上250mL/min/1.73m²未満の患者を対象とした国際共同第3相試験で、主要評価項目である「血清クレアチニン値の持続的な倍増、末期腎疾患の発症、あるいは腎・心血管系死の複合アウトカム」のリスクが有意に減少することが示されました。


参考)ジャディアンス(エンパグリフロジン)の作用機序【糖尿病/心不…


慢性心不全領域では、EMPEROR-Reduced試験(HFrEF)とEMPEROR-Preserved試験(HFpEF)の両方で、心血管死亡または心不全入院の複合アウトカムを有意に抑制することが確認されています。 このため、糖尿病の有無を問わず、心不全の標準治療として位置づけられるに至っています。




エンパグリフロジン 先発 副作用 尿路感染 性器感染 ケトアシドーシス

SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンの副作用は、作用機序に由来する特徴的なものが多いことが知られています。 医療従事者が特に注意すべき副作用は以下の通りです。



【感染症リスク】

  • 尿路感染・性器感染:尿中にグルコースが排泄されるため、細菌や真菌の増殖環境が整いやすくなります。特に女性では外陰部腟カンジダ症、男性では亀頭包皮炎の発現に注意が必要です。

  • 重篤な感染症:腎盂腎炎、外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症などの重篤な感染症に至るケースも報告されています。


【代謝・内分泌系の副作用】

  • ケトアシドーシス:血糖コントロールが良好な状態でもケトーシスが現れ、ケトアシドーシスに至ることがあります。症状として悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害などが認められた場合には、直ちに処方医への連絡が必要です。

  • 低血糖:単独使用では低血糖リスクは低いものの、インスリンやSU薬との併用時には注意が必要です。


【体液量関連の副作用】

  • 多尿・頻尿・脱水:本剤の利尿作用により多尿・頻尿が起こることがあります。特に高齢者や利尿薬を併用している患者では、脱水や血圧低下、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症の発現に注意してください。


臨床現場での対策として、患者への十分な説明が不可欠です。尿路感染・性器感染の症状や対処方法について事前に説明し、口渇や頻尿などの異常が認められた場合は早急に医療機関を受診するよう指導しましょう。



また、手術前後や重篤な外傷、重症感染症の発現時には服用を中止するなど、慎重な投与管理が求められます。



エンパグリフロジン 先発 ジェネリック 後発品 臨床試験免除 バイオウェーバー

エンパグリフロジンの後発品(ジェネリック)開発において、2025年10月に重要な進展がありました。


参考)CareNet Academia


J Pharm Sci誌2025年10月9日号に発表されたバイオウェーバーモノグラフによると、エンパグリフロジンが生物薬剤学分類システム(BCS)クラスIII薬剤に分類されることが確認されました。 この分類に基づき、以下の条件を満たす後発品については臨床試験を免除(バイオウェーバー)できる可能性が示されたのです。



  • 後発品が先発品(ジャディアンス)と類似した製剤特性を持つ
  • 両製剤が15分以内に85%以上の非常に速やかな溶出を示す


この評価は、エンパグリフロジンの膜透過性、溶解性、製剤性能に関する公表データを検討した結果導き出されたものです。 臨床試験の免除が認められれば、後発品メーカーの開発コストと時間が大幅に削減され、より早期のジェネリック市場参入が可能になります。



ただし、2026年7月現在の時点では、エンパグリフロジンの後発品は国内で承認・発売されていません。 第一三共エスファがフォシーガ(ダパグリフロジン)の後発品を2026年7月3日に発売したのに対し、 ジャディアンスの後発品は依然として開発段階にあると考えられます。


医療従事者として知っておくべき重要な点は、仮に後発品が承認されたとしても、適応症は「2型糖尿病」のみに限定される可能性が高いということです。 心不全やCKDの適応を取得するには、改めて臨床試験の実施が必要となるため、先発品との使い分けが臨床現場で必要になるでしょう。




エンパグリフロジン 先発 血管新生 糖尿病性血管合併症 意外な効果

ここからは、あまり知られていないエンパグリフロジンの意外な作用について、最新の研究結果を基に解説します。


2025年6月、Cardiovascular Toxicology誌に発表された研究で、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジン(EMPA)が糖尿病マウスの下肢虚血モデルにおいて、血流回復と血管新生を促進することが示されました。 この研究では、EMPAが血管内皮細胞機能を改善し、酸化ストレスを軽減することで、糖尿病性血管合併症に対する治療効果を発揮する可能性が明らかになったのです。


参考)CareNet Academia


糖尿病性血管合併症は、糖尿病患者の下肢虚血や壊疽、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こす major な問題です。従来のSGLT2阻害薬の作用機序は「尿中にグルコースを排泄することで血糖値を低下させる」というものでしたが、この研究結果は、EMPAが血管内皮細胞に直接作用し、酸化ストレスを軽減することで血管新生を促進するという、新たな作用機序を示唆しています。



この知見は、以下の点で臨床的に重要です。


  • 糖尿病性下肢虚血や末梢動脈疾患(PAD)の患者において、従来の血糖コントロールに加え、血管保護作用も期待できる可能性
  • 心血管イベントリスク低減のメカニズムの一部として、血管新生促進作用が関与している可能性
  • 糖尿病性網膜症や腎症など、他の微小血管合併症への効果も期待できる可能性


ただし、この研究は動物実験(糖尿病マウス)の段階であり、ヒトでの有効性と安全性は未だ確認されていません。 今後の臨床試験で、この血管新生促進作用が糖尿病患者の下肢虚血や末梢動脈疾患の予後改善に寄与するかが検証される必要があります。



また、2025年6月にNEJM(New England Journal of Medicine)で発表されたCONFIDENCE試験では、2型糖尿病を合併するCKD患者において、フィネレノン(非ステロイド型選択的MR拮抗薬)とエンパグリフロジンの同時併用療法により、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が早期かつ相加的に低下することが示されました。


参考)MR拮抗薬「フィネレノン」とSGLT2阻害薬の同時併用 2型…


この試験では、ベースラインから180日時点でのUACRの相対変化量が、併用療法群においてフィネレノン単独群より29%、エンパグリフロジン単独群より32%有意に低下しました。 予期せぬ有害事象は認められず、症候性低血圧、急性腎障害、高カリウム血症による中止はまれであったと報告されています。


参考)https://hokuto.app/post/XiULkjq7fJw7yVrzyFmg


この知見は、糖尿病性腎臓病(DKD)の管理において、SGLT2阻害薬とMR拮抗薬の同時併用が新たな標準治療となる可能性を示唆しています。 2020年代は「腎保護療法の黄金期」と呼ばれるほどの治療選択肢の拡大を経験しており、従来のRAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB)に加え、SGLT2阻害薬、フィネレノン、GLP-1受容体作動薬が、それぞれ独立した腎保護効果を証明してきました。


参考)ai/n/nf53cd51cd008">https://note.com/medknowledge_ai/n/nf53cd51cd008




エンパグリフロジン 先発 配合剤 トラディアンスAP 薬価 適応

エンパグリフロジンの先発品には、DPP-4阻害薬であるリナグリプチンとの配合剤「トラディアンス配合錠AP」(日本ベーリンガーインゲルハイム)も存在します。


参考)トラディアンス配合錠APの効能・副作用|ケアネット医療用医薬…


トラディアンス配合錠APは、エンパグリフロジンとリナグリプチンを1錠に配合した合剤で、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を目的として使用されます。 配合剤の最大のメリットは、患者の服薬アドヒアランス向上にあります。複数の薬剤を別々に服用する負担を軽減し、1日1回の服用で済むため、長期の血糖コントロール維持に寄与します。


参考)https://hokuto.app/medicine/Shljg4smHYWV62E8qczw


薬価については、2025年10月7日時点で以下の通りです。


  • トラディアンス配合錠AP:1錠あたり 283.30円(1日薬価:283.30円)
  • トラディアンス配合錠BP:1錠あたり 395.60円


トラディアンス配合錠APは、ジャディアンス錠10mg(198.70円)とトラゼンタ錠5mg(155.40円)の合計1日薬価354.10円に対し、283.30円と比較的安価に設定されています。 これは「新医療用配合剤の特例」による算定で、自社品の薬価の合計の0.8倍で算定された結果です。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000400315.pdf


適応症は「2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法だけで十分な効果が得られない場合)」に限定されており、 慢性心不全やCKDへの適応はありません。 このため、心不全やCKDを合併する糖尿病患者では、ジャディアンス単剤と他の薬剤の併用を検討する必要があります。



また、トラディアンス配合錠APは、インスリン製剤との併用は推奨されていません。 これは、SGLT2阻害薬とインスリン製剤の併用時に低血糖リスクが増加するためで、配合剤の設計思想として、DPP-4阻害薬との併用による相乗的な血糖低下効果を狙ったものです。




エンパグリフロジン 先発 臨床現場での使い方 注意点 処方設計

最後に、エンパグリフロジン(ジャディアンス)を臨床現場で使用する際の具体的な処方設計と注意点について解説します。


【基本的な用法用量】


【CKD患者への処方設計】

  • CKD患者への投与は、eGFRが20mL/min/1.73m²以上250mL/min/1.73m²未満を対象としています。

  • 末期腎不全または透析施行中の患者には使用しないでください。

  • eGFRが45mL/min/1.73m²未満の患者では、血糖降下効果が減弱する可能性があるため、血糖コントロールを十分にモニタリングしながら投与してください。


【心不全患者への処方設計】

  • HFrEF(心拍出量が低下した心不全)およびHFpEF(心拍出量が保たれた心不全)の両方で使用可能です。

  • 糖尿病の有無を問わず使用できるため、非糖尿病性の心不全患者でも積極的に検討すべき薬剤です。

  • 心不全治療薬として使用する場合は、10mg/日から開始し、忍容性を確認した上で25mg/日への増量を検討します。


【服用指導の重要ポイント】

  • 水分補給:多尿・頻尿の副作用により脱水リスクが高まるため、適度な水分補給を行うよう指導してください。

  • 感染症状の早期発見:尿路感染・性器感染の症状(発熱、排尿痛、頻尿、外陰部の痒みや痛みなど)が認められた場合は、直ちに医療機関を受診するよう指導してください。

  • ケトアシドーシスの警戒:血糖値が正常でもケトアシドーシスを発症する可能性があるため、悪心・嘔吐、腹痛、倦怠感、呼吸困難などの症状が現れた場合は速やかに受診するよう伝えてください。

  • 手術前後の対応:手術前後や重篤な外傷、重症感染症の発現時には、服用を中止する必要があるため、事前にかかりつけ医に相談するよう指導してください。


【併用薬との相互作用】

  • 利尿薬:併用により脱水や血圧低下のリスクが増加するため、注意が必要です。

  • インスリン製剤・SU薬:低血糖リスクが増加するため、併用時は血糖モニタリングを頻回に行い、必要に応じてインスリンやSU薬の用量調節を検討してください。

  • RAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB):CKD治療において併用されることが多く、腎保護効果の相加効果が期待できますが、高カリウム血症や急性腎障害のリスクにも注意が必要です。


【患者への説明ポイント】

  • 「この薬は、尿に糖を捨てることで血糖値を下げる薬です。そのため、尿の量が増えたり、頻尿になったりすることがあります。」
  • 「尿路感染や性器感染のリスクが高まりますので、日頃から清潔を保ち、発熱や排尿痛などの症状が出たら早めに受診してください。」
  • 「血糖値が低くても、体調が悪くなることがあります。特に、吐き気や腹痛、倦怠感、呼吸が苦しいなどの症状が出たら、すぐに連絡してください。」
  • 「手術や大きなケガをする前は、必ずこの薬を飲んでいることを医師に伝えてください。」


以上のポイントを踏まえ、個々の患者の状態や併用薬、合併症を考慮した処方設計が、医療従事者には求められます。

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