
テリパラチドは副甲状腺ホルモン(PTH)のアナログであり、骨形成を促進する「骨形成促進薬」に分類されます。
参考)医療用医薬品添付文書
顎骨壊死リスクが高いのはビスフォスフォネート製剤やデノスマブ、ロモソズマブなどの骨吸収抑制薬であり、テリパラチドはそれらとは作用機序が大きく異なります。
参考)歯科:骨粗鬆症治療中の方 – 虎の門病院
虎の門病院の解説でも、顎骨壊死リスク薬剤一覧にビスフォスフォネートやデノスマブ、ロモソズマブが挙げられ、テリパラチドは別枠の骨粗鬆症薬として記載されています。
したがって、テリパラチド単独投与患者の歯科治療における顎骨壊死リスクは、ビスフォスフォネートやデノスマブ投与患者より低いと評価されますが、長期の骨粗鬆症治療歴(過去のBP使用歴など)を丁寧に聴取することが重要です。
参考)https://gcoa.jp/doc/statement/statement_2023_02.pdf
この部分の背景解説として、骨粗鬆症薬と顎骨壊死リスクを整理したページが参考になります。
骨粗鬆症治療薬と顎骨壊死リスク(虎の門病院 歯科)
テリパラチドの添付文書では、投与初期の一過性低血圧、めまい、悪心、頭痛などの自覚症状が副作用として記載されており、投与直後の起立性低血圧には注意が必要とされています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056594.pdf
また、持続的な高カルシウム血症、尿中カルシウム排泄増加、軽度の高尿酸血症など、電解質や代謝への影響が報告されており、腎機能や心血管イベントリスクの評価が必要です。
参考)302 Found
歯科診療の場では、以下のような点が臨床上のチェックポイントになります。
テリパラチドの副作用と適正使用に関しては、製薬企業が提供するガイドが詳細です。
テリパラチド適正使用ガイド(持田製薬)
テリパラチド単独投与患者では顎骨壊死リスクは相対的に低いものの、骨粗鬆症薬の多剤併用や薬剤変更歴を踏まえた総合的なリスク評価が不可欠です。
医科と歯科の連携に関する日本骨粗鬆症学会などのステートメントでは、骨粗鬆症治療患者の歯科治療前に、投与薬剤、投与期間、腎機能、がんの有無などを共有することが推奨されています。
テリパラチド患者の歯科紹介状・連携のポイントとして、以下のような実務的チェックリストが有用です。
日本骨粗鬆症学会などによる顎骨壊死予防ステートメントでは、「顎骨壊死を起こさない骨粗鬆症治療」を掲げ、医歯薬連携の重要性を具体的に示しています。
このような指針を踏まえ、テリパラチド患者についても「薬剤単体のラベルにとらわれず、治療歴全体を評価する」という視点が重要になります。
医科歯科連携の考え方を整理したステートメントが参考になります。
顎骨壊死を起こさない骨粗鬆症治療を医歯薬連携で!(GCOAステートメント)
既存の多くの解説は「どの薬剤が顎骨壊死を起こしやすいか」に焦点が当たっていますが、テリパラチド患者では「全身副作用と骨形成促進を前提にした周術期管理」が重要なテーマとなります。
骨形成促進薬を使用している患者では、抜歯やインプラントなど骨を扱う処置に際して、骨治癒のポテンシャルが高い一方で、高カルシウム血症や代謝異常が潜在的リスクとなり得ます。
テリパラチド患者の歯科周術期管理のポイントを、現場で使いやすい形で整理すると次のようになります。
このような観点は、検索上位の「顎骨壊死リスク一覧」にはあまり詳しく書かれていないことが多く、実際に外来や手術室で患者を診る医療従事者ほど重要度が高い情報です。
骨粗鬆症治療では、テリパラチド単独だけでなく、ビスフォスフォネート、デノスマブ、ロモソズマブなどとの併用や、これらからの切り替えが行われることがあり、歯科的にはこの「薬歴の連続性」が重要です。
顎骨壊死リスクは現在投与中の薬剤だけでなく、過去の長期ビスフォスフォネート投与や高用量静注製剤の使用歴によっても規定されるため、「テリパラチドだから安全」と短絡的に判断しないことが求められます。
参考)顎骨壊死|関節リウマチ
歯科側での薬歴確認ポイントは次の通りです。
関節リウマチ患者などで顎骨壊死が問題となるケースを対象とした情報では、BP関連顎骨壊死(BRONJ)のリスク因子が整理されており、テリパラチド患者の背景を理解するうえで役立ちます。
医療従事者としては、「テリパラチド=安全」「BP=危険」という単純な二分ではなく、薬歴全体と患者背景を見て歯科治療リスクを層別化する視点が求められます。
あなたの現場では、テリパラチド患者の歯科紹介時に過去の骨粗鬆症薬歴をどこまで標準的に聴取・共有できていますか?
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