
せん妄予防の看護研究において、最も重要な第一歩はリスク因子の正確な評価です。
参考)https://www.yodosha.co.jp/bookdata/9784758123952/9784758123952_chart.pdf
入院前または入院後3日以内に実施するリスク評価では、以下の7つの項目をチェックします:
参考)https://www.pt-ot-st.net/pdf/2026/r8besshi/b7-3.pdf
これらのリスク因子を早期に特定することで、一次予防のケアを計画的に実施できます。
リスク評価ツールとしては、OLD(Older persons Risk of Delirium)やAUDIT-C(アルコール使用障害識別テスト)など、 validated なツールを使用することが推奨されています。
認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版(国立長寿医療研究センター):入院時リスク評価の詳細なチェックリストと手順が記載されています。
環境調整は、介入が容易かつ標準化が可能なせん妄予防ケアとして、近年の研究で注目されています。
脳卒中患者を対象とした研究では、夜間にアイマスクおよび耳栓を使用する環境調整介入により、せん妄予防効果が検証されています。
物理的環境を整える具体的なケアには、以下のようなものがあります:
参考)http://www.igaku.co.jp/pdf/1408_heart-04.pdf
意外な事実として、せん妄の場合でも患者の感情は保たれているため、医療者の乱雑な言動や否定的・冷淡な対応によって傷ついた感情体験は、せん妄から回復した後にも残っていることが多いのです。
人的環境を整えるケアでは、Y・H・W(ゆっくり・はっきり・わかりやすく)を意識したコミュニケーションが重要です。
また、「今から血圧を測りますね」などと1度に1つのことだけを伝える工夫や、患者が幻覚や妄想などの病的体験を訴えたときには「私には見えませんが、虫に見えたんですね。それは怖かったでしょう」と感情に焦点化して応答することが推奨されています。
せん妄に対する非薬物療法的介入(医学書院):外部環境と内部環境の安定性を保持する具体的な看護ケアが詳しく解説されています。
せん妄予防を効果的に実施するためには、多職種チームの構築が不可欠です。
参考)急性期病院におけるせん妄ケアチームの構築プロセス (日本老年…
関東および関西地区の一般病院のせん妄ケアチーム8チームを対象とした研究では、チーム構築プロセスが4つの局面に分類されました:
せん妄予防の看護研究において、あまり注目されていないが重要な視点が睡眠覚醒リズムの維持です。
内部環境の安定性を保持するケアとして、以下の6つの要素が重要です:
国立がん研究センター東病院を中心に日本で開発された「デルタプログラム」では、看護師を中心にスクリーニングや予防的対応、定期的なモニタリングと早期発見を試みることで、せん妄発症率を7.1%から4.3%に大幅に減少させることができました。
参考)https://plaza.umin.ac.jp/~miya/oncolnurs25.pdf
がん患者に対する看護師を中心とした多職種によるせん妄の予防と早期発見・早期対処(日本腫瘍看護学会):デルタプログラムの詳細と有効性に関するエビデンスが紹介されています。
せん妄の早期発見には、適切なスクリーニングツールの使用が不可欠です。
観察計画では、以下の項目を継続的に評価します:
せん妄スクリーニングツールとしては、ICDSC(Intensive Care Delirium Screening Checklist)やCAM-ICU(Confusion Assessment Method for the ICU)などが使用されます。
評価のタイミングは、術後3日以内は集中的に、急性疾患では入院時から定期的に実施します。
「何かおかしい」「いつもと違う」と感じた時や、状態変化時や薬剤変更時にも評価を実施することが重要です。
せん妄ケアリスト(Ver.1)(日本急性看護学会):せん妄の早期発見から早期退院までの実践的なチェックリストが提供されています。
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