
一次予防では、まず生活習慣の改善を行ったうえで、リスク区分に応じてLDL-Cの目標値を決めます。日本の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、低リスクは160未満、中リスクは140未満、高リスクは120未満が基本です 。
参考)https://www.jhf.or.jp/pro/a&s_info/guideline/post_2.htmls_info/guideline/post_2.html" target="_blank" rel="noopener">動脈硬化性疾患予防ガイドライン・エッセンス
この考え方の重要点は、同じLDLでも「全員に同じ基準を当てる」のではなく、絶対リスクで判断することです 。
参考)https://gifu-min.jp/midori/document/576/sisitu3.pdf
実務では、数値だけを見るよりも、喫煙、高血圧、糖尿病、CKD、家族歴などを合わせて評価し、到達目標を説明する流れが重要です 。
参考)https://therres.jp/r-open/img/open_202207_1.pdf
二次予防では、冠動脈疾患の既往がある患者でLDL-C 100未満をまず目指し、ハイリスクでは70未満が目標になります 。
参考)最新のガイドラインに基づく至適薬物治療の実践のために(2)
2022年版では、二次予防の対象にアテローム血栓性脳梗塞も加わり、適応範囲がより広く整理されました 。
参考)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
この領域では、生活習慣の是正と薬物治療を組み合わせる前提が強く、スタチン、エゼチミブ、必要に応じてPCSK9阻害薬まで含めた段階的介入が想定されます 。
糖尿病では、合併症の有無でLDL-C目標が変わる点が要注意です。末梢動脈疾患、網膜症、腎症、神経障害、喫煙がある場合は100未満、ない場合は120未満が基本です 。
つまり、糖尿病だから一律に同じ目標ではなく、動脈硬化リスクの上乗せがあるかどうかで管理強度が変わります 。
患者説明では「血糖だけでなく血管イベントを減らすための管理」であることを伝えると、脂質管理の意味が通りやすくなります 。
家族性高コレステロール血症では、通常の脂質異常症より早期から厳格な管理が必要です 。
参考)https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/JAS_FH_GL2017.pdf
二次予防相当の患者では70未満を意識する場面が多く、未治療でLDLが高い症例では、生活習慣の改善だけで到達しにくいため、早期薬物療法が現実的です 。
意外に見落とされやすいのは、家族歴や若年発症の冠動脈疾患がある場合、本人の症状が軽くてもリスクはかなり高い点です 。
現場で意外と重要なのは、LDL-Cの「絶対値」だけでなく、どれだけ下がったかという低下率です。日本のガイドラインでは、一次予防で20〜30%、二次予防で50%以上の低下が目標になり得ます 。
これは、初診時のLDLが極端に高い患者では、目標値到達だけでなく低下幅の評価が治療効果の判断に役立つためです 。
また、non-HDL-Cを併用すると、中性脂肪が高い症例や非空腹時採血でも脂質リスクを拾いやすくなります 。