
インフルエンザワクチン接種後の重篤な副反応は、厚生労働省が定める「副反応報告基準」に基づき、医療機関から報告される仕組みになっています。この基準は、ワクチン接種との因果関係を問わず、一定の症状が出現した場合に幅広く報告を求めることで、未知の有害事象を含めた副反応の発生頻度を短期間で把握することを目的としています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_05.html
報告基準では、臨床症状ごとに「接種後症状発生までの時間」が細かく設定されています。例えば、アナフィラキシーは24時間以内、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)やギランバレー症候群は21日以内、けいれんやその他の神経障害は7日以内、血小板減少性紫斑病や肝機能異常は28日以内と、症状の性質に応じて観察期間が異なります。
また、以下の3つの条件に該当する場合は、接種から症状発生までの時間を特定せずに報告対象となります。
この基準は予防接種後に一定の症状が現れた者の報告基準であり、予防接種との因果関係や副作用等の被害救済と直接結びつくものではない点に注意が必要です。
インフルエンザワクチン接種において最も注意を要する重篤な副反応の一つがアナフィラキシーです。アナフィラキシーは、じんましんや呼吸困難、血管浮腫などの症状が急速に現れる重篤なアレルギー反応で、適切な対応が遅れると生命に関わる状態となります。
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厚生労働省の報告によると、インフルエンザワクチン接種後の重篤な副反応の発生頻度は極めて稀で、100万回に1〜2例程度とされています。アナフィラキシー様症状が出た場合には緊急の対応が必要となるため、ワクチンの接種後は少なくとも30分は院内に残って経過を観察することが推奨されています。
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アナフィラキシーショックの具体的な症状としては、以下のようなものが報告されています。
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これらの症状が接種後短時間で現れた場合、医療機関では速やかにアドレナリンの投与などの適切な処置を行う必要があります。
インフルエンザワクチン接種後の神経系の重篤な副反応として、ギランバレー症候群(GBS)と急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が知られています。これらの疾患は、四肢の脱力やしびれ感が急速に全身に広がり進行する特徴を持ち、早期発見・早期治療が重要です。
参考)covid-19-info83.html">https://www.igakuken.or.jp/r-info/covid-19-info83.html
ギランバレー症候群については、1992〜93年および1993〜94年のインフルエンザワクチン接種シーズンの調査で、接種に関連した相対リスクが1.7(95%信頼区間1.0〜2.8)と報告されています。これは、インフルエンザワクチンの予防接種を受けた時のギランバレー症候群の患者の増加が、100万人当たりにつき1人をわずかに超える程度であることを示しています。
参考)https://www.nejm.jp/abstract/vol339.p1797
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)については、ワクチン接種後(主に接種1〜4週後)に以下のような症状がみられる場合があります。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000145987.pdf
2023年10月の症例報告では、28歳男性がインフルエンザHAワクチン接種後にADEMが疑われる症状を呈した事例が記録されています。MRI検査で脳白質に散在性高信号域を確認し、ステロイドパルス療法により後遺症なく軽快した症例も報告されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001522668.pdf
インフルエンザワクチン接種後の血液系および肝臓の重篤な副反応として、血小板減少性紫斑病と肝機能障害が報告されています。これらの疾患は発生頻度は極めて稀ですが、適切な診断と治療が必要となる重篤な状態です。
血小板減少性紫斑病については、5歳女児がインフルエンザワクチン2回目接種26日後、日本脳炎ワクチン追加接種14日後に右下腿前面に紫斑が出現し、血小板数が6000/μLまで減少した症例が報告されています。免疫性血小板減少症(ITP)の診断で大量免疫グロブリンを投与し、血小板数は速やかに改善し退院しました。
参考)インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチン接種後に免疫性血小板…
また、31歳女性でインフルエンザワクチン接種後に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を発症した症例も報告されており、呂律不良、運動性失語、思考力低下などの神経症状を呈しました。
参考)http://www.akitajinfuzen.jp/archive/file/seminar/no22/seminar22-15.pdf
肝機能障害については、73歳男性がインフルエンザワクチン接種後に黄疸を伴う肝障害を呈した症例が報告されています。薬剤リンパ球刺激試験(DLST)で強陽性を示し、インフルエンザワクチンによる薬物性肝障害と診断されました。ステロイドパルス療法には反応せず、肝庇護療法にて約2カ月で軽快した事例です。
これらの症例から、インフルエンザワクチン接種後28日間は血小板数や肝機能の異常に注意し、発疹や紫斑、黄疸などの症状が現れた場合は速やかに血液検査や肝機能検査を実施することが推奨されます。
インフルエンザワクチンの重篤な副作用としてあまり知られていない視点に、BCG接種との相互作用による結核反応の増強があります。これは医療従事者特有のリスクとして注目すべき点です。
医療従事者は职业发展上、BCGワクチンの再接種を受ける機会が一般市民よりも多くなる傾向があります。BCGワクチン接種後、1%以下の割合で局所の潰瘍やリンパ節の腫脹がみられることが報告されていますが、インフルエンザワクチン接種との時間的近接性により、これらの反応が増強される可能性が理論的に考えられます。
特に以下の状況では注意が必要です。
この相互作用に関する大規模な疫学研究は限られていますが、免疫学的な機序から、生ワクチン(BCG)と不活化ワクチン(インフルエンザ)の接種間隔を適切に空けることが推奨されます。医療従事者向け予防接種ガイドラインでは、両ワクチンの接種間隔を2週間以上空けることが一般的に推奨されています。
また、インフルエンザワクチン接種後に発熱や全身倦怠感が現れた場合、これが単なるワクチン反応なのか、BCGによる結核反応の増強なのかを鑑別する必要がある点も、医療従事者特有の視点と言えます。
インフルエンザワクチンの副反応報告に関する最新情報は、以下の公的機関の資料で確認できます。
厚生労働省の新型インフルエンザ予防接種後副反応報告について:副反応報告基準の詳細と報告方法が記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_05.html
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のインフルエンザワクチン接種後の副反応報告状況:各シーズンの具体的な報告件数と症例概要が掲載されています。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000266662.pdf
https://www.pmda.go.jp/files/000266662.pdf
重篤副作用疾患別対応マニュアル:自覚症状などから重大な副作用を早期に発見するための患者・家族向け情報と、医療関係者向けの診断方法及び対処方法が記載されています。
https://www.pmda.go.jp/files/000145987.pdf
これらの資料は、インフルエンザワクチン接種後の重篤な副反応を早期に発見し、適切に対応するための重要な情報源となります。医療従事者は定期的にこれらの資料を確認し、最新の知見を把握しておくことが推奨されます。
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