
eGFR(estimated Glomerular Filtration Rate)は推算糸球体ろ過量であり、日本では血清クレアチニン値、年齢、性別から算出する成人用の計算式が標準的に用いられています。
参考)診断基準について
日本腎臓学会が推奨する成人向けeGFR計算式は、男性で「eGFR=194×Cr^-1.094×年齢^-0.287」、女性では男性の値に0.739を乗じる形となっており、単位はmL/min/1.73㎡です。
参考)egfr-refvalue">https://oasismedical.or.jp/column/what-egfr-refvalue
この計算式は、日本人コホートに基づいて構築されており、血清クレアチニン値から真のGFRを推定する際に、年齢や性別による筋肉量・代謝の違いを指数関数的に補正する点が特徴です。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/mc/eGFR_Estimated.htm
参考:腎機能推算式全体の整理(計算式と留意点の詳細)
薬物投与量設定に使用する腎機能推算式(独立行政法人国立病院機構)
eGFRは年齢とともに徐々に低下していくことが知られており、生活習慣病予防健診の受診者データでも、35〜39歳では平均約86mL/min/1.73㎡が、70〜74歳では約68mL/min/1.73㎡まで低下する傾向が示されています。
参考)eGFRとは何?基準値と計算方法をやさしく解説
このような年齢階級別の平均値を踏まえると、70代以降の患者でeGFRが60〜70mL/min/1.73㎡程度であっても、必ずしも「病的な低下」とは限らず、加齢に伴う生理的変化と病的変化を慎重に見分ける必要があります。
参考)【腎臓内科専門医が解説】eGFRとは?腎臓の健康を知る重要な…
一方で、eGFRが60mL/min/1.73㎡未満の状態が3か月以上持続する場合は慢性腎臓病(CKD)の診断基準に該当し得るため、高齢者であっても蛋白尿や画像所見など他の腎障害の所見と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
参考)腎機能マーカー「eGFR」とは?数値の見方と年齢別基準値、計…
高齢者のeGFR評価とCKD診断基準の解説部分
eGFRとは何?基準値と計算方法をやさしく解説(オアシスクリニック)
血清クレアチニン値に基づくeGFRは、筋肉量の影響を受けやすく、るいそうや長期臥床患者、四肢欠損などで筋肉量が極端に低い場合には、実際の腎機能よりも高く推算されるリスクがあります。
参考)CKDに関する計算ツール
そのような症例では、シスタチンC(Cys-C)を用いたeGFR推算式が有用とされており、男性では「eGFR cys=(104×Cys-C^-1.019×0.996^年齢)-8」、女性ではさらに0.929を乗じる式が用いられ、筋肉量や性別の影響を受けにくい利点があります。
参考)https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2024/12/20_Commonlyusedformulasforestimatingrenalfunction.pdf
一方で、薬物投与量設定に古くから用いられてきたCockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス(Ccr)は、「((140-年齢)×体重)/(72×Cr)」を基本とし、女性では0.85を乗じますが、若年者や肥満者では腎機能を過大評価し、高齢者では過小評価する傾向があることが指摘されています。
eGFRcreat・eGFRcys・Cockcroft-Gault式の解釈上の注意点
eGFR:推定糸球体ろ過量(日本腎臓学会計算式)(Clinical Sup)
腎排泄型薬剤の投与量設定では、eGFR(体表面積補正値)だけでなく、体表面積未補正eGFRやeCCrを併用して評価する手法が提案されており、例えば「体表面積未補正eGFR=eGFR×体表面積/1.73」としてmL/minベースに換算することができます。
薬物投与量設定に関する指針では、若年者ではCockcroft-Gault式によるeCCr×0.789から個別化eGFRへの換算を行うなど、年齢や体格によって最適な指標を選択しつつ、安全域を見込んだ用量調整を行うことが推奨されています。
肥満患者に対しては理想体重(男性では「50+2.3×(身長−152.4)/2.54」、女性では「45.5+2.3×(身長−152.4)/2.54」)を用いてCockcroft-Gault式の分子に代入することで、過大評価を抑える工夫がなされており、eGFRとeCCrを並べて確認することでより慎重な投与設計が可能になります。
薬物投与量設定におけるeGFRとeCCrの位置づけ
薬物投与量設定に使用する腎機能推算式(独立行政法人国立病院機構)
高齢者では、eGFR計算式に年齢が指数として組み込まれているため、数値上は「低値」になりやすく、検査値だけを見るとCKDステージが重く見えることがありますが、実際には脱水や一過性の腎前性要因が重なっているケースも少なくありません。
そのため、特に後期高齢者では、egfr 計算式 年齢による推算値だけで薬物用量を一律に減量するのではなく、日常生活での水分摂取状況、栄養状態、サルコペニアの有無、血圧コントロール、併用薬(NSAIDsやACE阻害薬など)の影響を総合的に評価し、「その患者にとって許容される腎機能の範囲」を見極める視点が重要です。
さらに、施設入所高齢者や在宅高齢者では、検査の頻度や採血時期が不規則になりがちであり、eGFRの単回測定値だけでは腎機能のトレンドを捉えにくいため、カルテ上で時系列のeGFR推移グラフを確認し、「本人のベースライン」を把握したうえで変化量に注目することが、過剰な薬物制限や逆に見逃しを防ぐうえで有用です。
高齢者の腎機能評価と生活背景を含めた診療のヒント
腎機能マーカー「eGFR」とは?数値の見方と年齢別基準値、計算方法(大垣中央病院)
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