チカグレロル 商品名 ブリリンタ 効果 副作用 用量

チカグレロルの商品名ブリリンタについて、作用機序・適応・用量・副作用を解説。手術前休薬期間や呼吸困難の機序など臨床で役立つ情報を網羅し、医師・薬剤師の知識を深めます。

チカグレロル 商品名 ブリリンタ 基本情報

チカグレロル 商品名 ブリリンタ 基本情報
💊
一般名と商品名

一般名:チカグレロル(Ticagrelor)、商品名:ブリリンタ錠60mg/90mg(アストラゼネカ)

🎯
薬効分類

抗血小板剤(P2Y12受容体拮抗薬)、シクロペンチルトリアゾロピリミジン(CPTP)系

📅
承認歴

日本では2016年9月承認、同年11月薬価収載、2017年2月販売開始


チカグレロルは、冠動脈の血液供給に問題がある急性冠症候群(ACS)の患者において、脳卒中や心筋梗塞などの予防に使用される経口抗血小板薬です。 日本での製品名は「ブリリンタ」で、アストラゼネカが製造販売しています。 欧州では2010年12月、米国では2011年7月、そして日本では2016年9月に承認されており、比較的新しい抗血小板薬として位置づけられます。


参考)チカグレロル - Wikipedia


チカグレロルは、シクロペンチルトリアゾロピリミジン(CPTP)群に分類される新規化合物です。 従来のチエノピリジン系薬剤(クロピドグレル、プラスグレルなど)と同様に、血小板のアデノシン二リン酸(ADP)受容体であるP2Y12受容体に対して選択的かつ直接的な阻害作用を有し、ADPによる血小板凝集を抑制します。 しかし、その作用機序には従来薬とは異なる重要な特徴がいくつか存在します。


参考)速やかに効果が発現・消失する新規抗血小板薬:日経メディカル


チカグレロル 商品名 ブリリンタ 作用機序 可逆的阻害



チカグレロルの最大の特徴は、P2Y12受容体への結合が「可逆的」である点です。 従来のチエノピリジン系抗血小板薬(クロピドグレル、プラスグレル)は、P2Y12受容体に「不可逆的に結合」して血小板凝集作用を阻害します。 これに対し、チカグレロルはP2Y12受容体に可逆的に結合することにより抗血小板作用を発現します。


参考)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_6539


この可逆的結合により、以下のような臨床的メリットが生まれます。


  • 投与後早期に血小板凝集阻害作用が得られる(効果発現が速い)


  • 投与終了後には速やかに作用が消失する(効果消失も早い)


  • 肝臓での代謝活性化を必要とせずに作用が発現する(プロドラッグではない)


参考)チカグレロル(ブリリンタ錠)の特徴【2つの適応と適正使用のポ…


具体的には、チカグレロルはそのままの状態でADP受容体と可逆的に拮抗します。 ADP受容体を阻害することで、血小板内のアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPの増加をもたらすことで血小板内Ca2+量が減少し、血小板の凝集を抑制します。


参考)ブリリンタ[チカグレロル]作用機序、特徴、副作用


特徴 チカグレロル(ブリリンタ) クロピドグレル(プラビックス) プラスグレル(エフィエント)
化学構造 CPTP系 チエノピリジン系 チエノピリジン系
受容体結合 可逆的 不可逆的 不可逆的
プロドラッグ いいえ(直接作用) はい(代謝活性化必要) はい(代謝活性化必要)
効果発現 速い やや遅い 速い
効果消失 速い 遅い(血小板寿命まで) 遅い(血小板寿命まで)


チカグレロル 商品名 ブリリンタ 適応 急性冠症候群 陳旧性心筋梗塞

チカグレロル(ブリリンタ)には、2つの適応があります。


参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=55149


1. 急性冠症候群(ACS)


不安定狭心症(UA)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)、またはST上昇型心筋梗塞(STEMI)の患者における、血栓性心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生率の低減が適応です。 ACS発症から12カ月間までの治療においては、チカグレロルがクロピドグレルに優ることが証明されています。


参考)301 Moved Permanently


2. 陳旧性心筋梗塞


心筋梗塞発症後1年経過までの患者さんで、アテローム血栓性イベントの再発リスクが高い患者さんの治療が適応です。 具体的には、以下の背景を持つ患者が対象となります:


参考)チカグレロル|効果・副作用・使い方


  • 65歳以上
  • 2回以上の心筋梗塞の既往
  • 多枝病変を有する冠動脈疾患
  • 末期でない慢性の腎機能障害
  • 薬物療法を必要とする糖尿病


PLATO試験(大規模臨床試験)の結果、チカグレロル群はクロピドグレル群と比較して、主要エンドポイント(血管系の原因による死亡、心筋梗塞、脳卒中から成る複合エンドポイント)の発生率が有意に低下しました(チカグレロル群9.8% vs クロピドグレル群11.7%、ハザード比0.84、P<0.001)。 さらに、あらゆる原因による死亡率もチカグレロル群のほうが低かった(4.5% vs 5.9%、P<0.001)という画期的な結果が得られています。


参考)https://www.nejm.jp/abstract/vol361.p1045


米国心臓病学会(ACC)および米国心臓病協会(AHA)の急性冠症候群治療ガイドラインでは、チカグレロル(米国での製品名:BRILINTA)が、冠動脈ステント留置を受けた急性冠症候群の既往歴がある患者さん、および薬物のみの治療を受けた非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)患者さんの治療において、クロピドグレルよりも優先されるべきであることが推奨されています。



チカグレロル 商品名 ブリリンタ 用量 用法 180mg 90mg 60mg

チカグレロル(ブリリンタ)には、60mg錠と90mg錠の2つの規格があります。 適応と患者背景に応じて、適切な用量を選択する必要があります。


参考)医療用医薬品 : ブリリンタ (ブリリンタ錠60mg 他)


急性冠症候群(ACS)の適応


  • 初回用量:180mg(90mg錠2錠)
  • 維持用量:90mg、1日2回経口投与


参考)ブリリンタ錠90mgの効能・副作用|ケアネット医療用医薬品検…

  • アスピリン(維持用量として81〜100mg/日)と併用する



陳旧性心筋梗塞の適応(高リスク患者)


  • 用量:60mg、1日2回経口投与


  • 心筋梗塞発症後1年経過までの患者で、アテローム血栓性イベントの再発リスクが高い場合に使用



服用を忘れた場合の対応も重要です。患者には、次の服用予定時間に通常通り1回分を服用し、決して1度に2回分を服用しないよう指導する必要があります。 チカグレロルは血小板凝集抑制作用が強力であるため、過量投与は出血リスクを著しく高める可能性があります。


参考)チカグレロル 投与方法と禁忌、副作用の特徴と注意点


適応 初回用量 維持用量 併用薬
急性冠症候群(ACS) 180mg(1回) 90mg 1日2回 アスピリン81-100mg/日
陳旧性心筋梗塞(高リスク) - 60mg 1日2回 アスピリン75-100mg/日


参考リンク:ケッグ 医療用医薬品 : ブリリンタ(チカグレロルの薬価・規格情報)医療用医薬品 : ブリリンタ (ブリリンタ錠60mg 他)


チカグレロル 商品名 ブリリンタ 副作用 出血 呼吸困難 機序

チカグレロルの主な副作用は、その薬理作用に関連した出血傾向です。 日本人を含む安全性評価対象6,958例(60mg)中2,403例(34.5%)に副作用が認められています。


参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00008141.pdf


重大な副作用


  • 出血:脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等、発現率約1%)、消化器系出血(歯肉出血、直腸出血、出血性胃潰瘍等、発現率約3.6%)などが報告されています。



  • 高度房室ブロック、洞停止等の徐脈性不整脈:特に治療開始後1週間で3秒以上の心室休止が発生する可能性があります。ほとんどは無症状で一過性ですが、進行した洞房結節疾患のある患者には注意が必要です。



その他の副作用


  • 皮下出血(11.9%)


  • 鼻出血(4.7%)


  • 呼吸困難(2.1%)


  • 悪心、下痢、浮動性めまいなど



呼吸困難の副作用について


特に注目すべきは、チカグレロル特有の副作用として知られる「呼吸困難」です。 患者の13.8%に報告される呼吸困難という副作用の機序は、長らく完全には解明されていませんでした。


参考)CareNet Academia


しかし、2025年7月に発表された研究で、チカグレロルが末梢の5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT、セロトニン)濃度を上昇させることが明らかになりました。 チカグレロルは、トリプトファン水酸化酵素1(TPH1)の発現上昇とセロトニントランスポーター(SERT)の発現低下を介して、末梢の5-HT濃度を上昇させます。 気管収縮に関連する5-HT濃度の上昇が、呼吸困難の副作用に関与している可能性があります。



副作用への対処としては、定期的な観察と早期発見が重要です。 出血症状が認められた場合には、投与中止を含めた適切な処置を行う必要があります。また、患者には出血しやすくなる可能性があることを説明し、異常な出血(鼻出血、歯肉出血、皮下出血、血尿、血便等)が認められた場合には医師に連絡するよう指導することが大切です。



チカグレロル 商品名 ブリリンタ 手術前 休薬期間 5日 3日

チカグレロルによるP2Y12受容体阻害は、既存のチエノピリジン系P2Y12受容体阻害薬とは異なり可逆的であるため、投与終了後には速やかに作用が消失する特徴があります。 この特徴により、手術前の休薬期間が従来薬よりも短く設定されています。



血小板凝集抑制作用による出血等を防ぐため、既存の薬剤(クロピドグレル、プラスグレル)では手術前に10〜14日以上の休薬が必要でした。 しかし、チカグレロルでは血小板凝集抑制作用の消失が早いことから、手術前5日以上の休薬となっています。



術前休薬期間の目安


  • 原則:5日以上前に休薬


参考)https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/202108-1DInews2.pdf

  • 出血リスクが高くない場合:遅くとも3日前までには休薬


参考)https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/5587


薬剤名(商品名) 術前休薬期間
チカグレロル(ブリリンタ) 5日以上(出血リスク低なら3日)
クロピドグレル(プラビックス) 10〜14日以上
プラスグレル(エフィエント) 14日以上
チクロピジン(パナルジン) 10〜14日以上


参考リンク:抗血小板薬・抗凝固薬の手術前休薬期間の目安(愛媛大学医学部附属病院)https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/202108-1DInews2.pdf


手術前休薬期間の目安は、あくまでも「目安」ですので、出血リスクと休薬による血栓症・塞栓症発症リスクに応じて判断する必要があります。 また、主治医の指示がある場合は、これらの目安とは異なる場合がありますので、必ず主治医の確認を取ることが重要です。


参考)https://shinshuueda.hosp.go.jp/files/000148815.pdf


チカグレロル 商品名 ブリリンタ 薬物相互作用 CYP3A4 禁忌 注意

チカグレロルは、CYP3A4によって代謝される薬剤です。そのため、CYP3A4阻害薬や誘導薬との併用には注意が必要です。


CYP3A4阻害薬との併用


  • ケトコナゾール、クラリスロマイシン、ネファゾドン、リトナビル、アタザナビルなどの強力なCYP3A4阻害薬との併用は禁忌です。


参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161026001/670227000_22800AMX00680_B100_1.pdf

  • これらの薬剤はチカグレロルの血中濃度を著しく上昇させ、出血リスクを高める可能性があります。


CYP3A4誘導薬との併用



  • これらの薬剤はチカグレロルの血中濃度を低下させ、抗血小板作用が減弱する可能性があります。


その他の重要な相互作用


  • アスピリン:維持用量として81〜100mg/日との併用が推奨されています。 100mgを超える用量での併用は、出血リスクを高めるため避けるべきです。


  • ワルファリン:併用により出血リスクが増大するため、原則として併用は避けるべきです。


  • NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬との併用も出血リスクを高めるため、注意が必要です。


禁忌


  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者


  • 高度な肝障害のある患者


  • 活動性出血(消化管出血、頭蓋内出血など)のある患者


  • 強力なCYP3A4阻害薬(ケトコナゾール、クラリスロマイシン、ネファゾドン、リトナビル、アタザナビルなど)を投与中の患者



特定の背景を持つ患者への投与注意


  • 高齢者:特に75歳を超える患者では出血の発現率が高くなる傾向が認められています。


  • 妊婦:妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すべきです。


  • 腎機能障害:重度の腎機能障害のある患者では、出血リスクが高まるため注意が必要です。


参考リンク:ブリリンタ錠 添付文書(PMDA 医薬品医療機器総合機構)https://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161026001/670227000_22800AMX00680_B100_1.pdf

【指定医薬部外品】新ビオフェルミンSプラス錠 130錠 14日分 大正製薬 整腸剤 [乳酸菌/ビフィズス菌/ロンガム菌/フェーカリス菌/アシドフィルス菌 配合] 腸内フローラ改善 便秘や軟便に