
ast 活動の中心となるAST(Antimicrobial Stewardship Team)は、「抗菌薬適正使用支援チーム」として多職種で構成される実働チームです。
参考)AST(抗菌薬適正使用支援チーム)
一般的に、感染症診療経験を有する医師、薬剤師、細菌検査技師、看護師などがメンバーとなり、院内感染対策委員会やICT(Infection Control Team)の下部組織として位置づけられます。
参考)https://www.saitama-pho.jp/documents/2082/gyoumu13.pdf
ASTの主要な目的は、抗菌薬の選択・投与量・投与期間・投与経路を最適化し、患者予後の改善・治療失敗や有害事象の減少・薬剤耐性(AMR)の抑制・薬剤感受性率の回復を図ることです。
参考)抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
具体的には、抗菌薬管理プログラムを作成・運用し、モニタリングと介入を通じてプログラムの有効性を継続的に測定し、院内の抗菌薬使用文化そのものを変えていくことが求められます。 抗菌薬適正使用支援チーム(AST)|年報|社会医療法人財団 …
近年はASTの活動が診療報酬にも反映されており、抗菌薬適正使用支援加算に関連する要件として、活動内容やチーム構成の整備が求められている点も、医療政策的な重要性を示しています。
参考)https://maizuru.hosp.go.jp/pdf/aboutmed/infection/03-1-naiki2022.pdf
ast 活動の中核業務のひとつが、届出制抗菌薬や広域抗菌薬の使用状況を監視し、不適切な治療に対して介入することです。
参考)https://hidaka-kai.or.jp/files/libs/3742/202007010927039603.pdf
代表的な活動として、カルバペネム系、注射用ニューキノロン系、第4世代セファロスポリン系、抗MRSA薬などの指定抗菌薬使用患者のモニタリングがあり、長期投与例やデ・エスカレーション未実施例、投与経路変更のタイミングなどを重点的にチェックします。
参考)抗菌薬適正使用支援チーム(AST)|チーム医療|久留米大学病…
多くの施設では週1回程度のASTラウンドを行い、血液培養陽性・耐性菌検出・免疫不全患者などを対象に、主治医とともにベッドサイドで治療方針を検討し、必要に応じて診療録へフィードバック内容を記載する運用が定着しつつあります。
参考)抗菌薬適正使用支援チーム(AST)について - 島田市立総…
ラウンドでは、抗菌薬長期投与例の洗い出しと中止・変更提案、TDM(治療薬物モニタリング)の実施状況確認、培養検体の採取方法・提出タイミングの適正化などが議題となり、感染症治療の早期段階から介入することで、治療期間短縮や再燃リスク低減を図ります。
意外なポイントとして、ASTラウンドの議題に「血液培養複数セット提出率」「無菌材料からの菌検出後の初期抗菌薬の妥当性」など、プロセス指標とアウトカム指標の両方が明確に組み込まれている施設が増えており、単なる薬剤チェックではなく診療プロセス全体の質改善ツールとして活用されていることが挙げられます。
ast 活動は、薬剤耐性菌の監視と拡大防止をミッションに含んでおり、AMR対策の実行部隊として機能します。
参考)https://www.mie-icnet.org/wp-content/uploads/2024/09/20241217_mieicnet_amr2.pdf
活動の一環として、院内の薬剤耐性菌発生率や特定抗菌薬の感受性率を定期的に評価し、その結果に基づいて抗菌薬使用方針やマニュアルの改訂を行うことが推奨されています。
アンチバイオグラムの作成・更新はASTの重要な役割であり、施設別・診療科別・検体別の感受性データを集約することで、初期経験的治療の抗菌薬選択をエビデンスに基づいて行えるようにします。
意外に見落とされがちな点として、アンチバイオグラムの「見せ方」自体もASTの活動領域であり、臨床現場で直感的に使いやすいフォーマットへの改善や、電子カルテ上での参照導線の設計などが、使用率向上と適正使用への波及効果に直結します。
さらに、ASTは薬剤耐性菌検出患者への対応方針(隔離の要否、接触予防策、抗菌薬選択の制限など)についてICTと連携し、単なる「データ管理」にとどまらない具体的な臨床行動につなげる役割を担っている点も重要です。
ast 活動は医師主導の印象が強いものの、看護師・検査技師・薬剤師が果たす役割は実務レベルで非常に大きく、各職種の視点を理解することが活動の質向上に直結します。
看護師の立場からは、抗菌薬の投与状況や副作用モニタリング、点滴から内服への切り替えタイミング、感染兆候の早期把握と情報共有などが、AST介入の実効性に影響を与える要素として強調されています。
臨床検査技師は、血液培養やその他微生物検査の適切な採取と提出、検査結果の迅速な報告、アンチバイオグラム作成の基礎データ提供などを通じて、ASTがエビデンスに基づいた介入を行うための基盤を支えます。
薬剤師は、抗菌薬の薬物動態・薬力学に基づいた投与設計、TDMの運用、薬物相互作用や腎機能・肝機能に応じた用量調整の提案、届出制抗菌薬の使用妥当性評価など、専門性の高い視点からAST活動を牽引します。
意外な角度として、看護師が中心となってAST活動の認知度を現場で高め、主治医へのフィードバックを「対立」ではなく「協働」として受け入れてもらうためのコミュニケーション設計を行っている事例も報告されており、チームの文化醸成というソフト面もAST成功の鍵になっています。
ast 活動の成熟した施設では、院内だけでなく他医療機関への支援や地域全体のAMR対策に関与する動きが見られます。
具体的には、抗菌薬適正使用支援加算を算定していない医療機関からの相談窓口として機能し、抗菌薬マニュアル策定やアンチバイオグラムの作り方、届出制抗菌薬の運用方法などについて助言を行う事例が運営規程にも明記されています。
また、ASTは年2回程度の院内研修会開催に加え、地域医療支援病院として近隣施設向けの教育・啓発活動を行い、処方動向や耐性菌発生状況を共有することで、一施設に閉じない広域的なStewardshipの枠組みづくりに貢献しています。
参考)抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
独自視点として注目すべきなのは、AST活動の評価指標に「退院までの日数」「再入院率」「抗菌薬費用」だけでなく、「主治医・看護師の満足度」や「フィードバック受容性」などのソフトな指標を組み込み、チームへの信頼度を可視化しようとする試みです。
このような指標を用いて、AST介入が現場にとって負担なのか、むしろ診療の安心感を高める支援として認識されているのかを評価することで、単なる制度対応ではなく、現場に根ざした持続可能なast 活動へと発展させることが可能になります。
医療従事者としてASTの制度的な位置づけや具体的な活動内容を詳しく知りたい場合、感染対策やAST運営規程をまとめた資料が参考になります。
AST運営規程:抗菌薬適正使用支援チームの目的・活動内容・評価指標の詳細
ASTとICTの役割分担や連携の具体像を確認したい場合、感染防止対策室の資料が有用です。
感染防止対策室 ICTとAST活動について:両者の活動内容と連携のポイント
ASTの多職種連携や看護師の視点を深く理解したい際には、看護師が発表した事例報告が参考になります。
当院におけるAST活動について 看護師の立場から:看護師が関与するAST業務と現場の工夫
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